記事更新:2026年10月2日
こんにちは。Gajetter | 暮らしアップデート、運営者のGioです。
賃貸のエアコンについて調べると、「耐用年数は6年」「寿命は10年」「10年を超えたら交換」といった数字が出てきます。これ、かなり分かりにくいですよね。
結論からいうと、6年と10年は意味が違います。6年は主に税務や退去時の原状回復で出てくる数字で、大家さんに6年ごとの交換を義務付けるものではありません。一方、エアコン本体に表示されていることが多い10年前後の「設計上の標準使用期間」も、10年になった瞬間に使えなくなる寿命ではありません。
さらに賃貸では、年数以上にそのエアコンが物件の「設備」なのか、前の入居者などが残した「残置物」なのかが重要です。ここを確認しないまま、自分で修理業者を呼んだり交換したりすると、あとから費用負担で揉める可能性があります。
この記事では、賃貸エアコンの6年と10年の違い、故障したときの修理・交換費用、設備と残置物の見分け方、家賃減額、管理会社への連絡方法まで、実際に困ったときの順番で整理します。
- 賃貸エアコンの「6年」と「10年」の違い
- 故障時に大家・借主のどちらが負担するのか
- 設備と残置物を契約書で確認する方法
- 交換・修理・家賃減額を相談する手順
エアコンの6年と10年は何が違う?
最初に整理しておきたいのが「耐用年数」という言葉です。
賃貸エアコンでは6年と10年の両方が使われますが、同じ意味ではありません。
| 数字 | 主な意味 | 交換義務との関係 |
|---|---|---|
| 6年 | 減価償却や原状回復で使われる耐用年数 | 6年経過だけでは交換義務は発生しない |
| 10年前後 | 設計上の標準使用期間として表示されることが多い | 安全確認や点検を意識する目安 |
| 補修部品の保有期間 | メーカーが修理用部品を保有する期間 | 製造打ち切り後から数えるため設置年数とは別 |
この3つを分けて考えるだけでも、管理会社との話はかなり整理しやすくなります。
6年は交換期限ではない
「賃貸のエアコンは6年で交換してもらえる」と考えてしまいやすいのですが、これは少し違います。
税務上、一般的な冷房用・暖房用機器には6年の耐用年数が設定されています。また国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」でも、エアコンなどの冷暖房機器は6年の耐用年数区分として扱われています。
ただし、この6年は「6年経過したら大家が新品へ交換しなければならない」というルールではありません。
賃貸で6年という数字が特に重要になるのは、借主の過失で設備を破損し、退去時などに原状回復費用を計算するときです。

国土交通省のガイドラインでは、設備機器について耐用年数が経過した時点で残存価値が1円となるように、借主の負担割合を考える方法が示されています。
たとえば設置から長期間経過した古いエアコンを借主の不注意で壊した場合でも、必ず新品価格の100%を負担するという考え方ではありません。もともと設備としての価値が減っている部分を考慮します。
一方、経年劣化や通常使用による故障であれば、原状回復ガイドラインでも設備機器の寿命による故障・使用不能は賃貸人側の負担として整理されています。
つまり、6年は「交換を要求できる年齢」ではなく、退去時などの費用負担を考えるときに重要になる年数と理解しておくと分かりやすいです。
10年も寿命とは限らない
エアコン本体を見ると「設計上の標準使用期間10年」といった表示がある機種があります。
これは長期使用製品安全表示制度に基づき、一定の標準的な使用条件で安全に使用できる期間を示すものです。エアコンも制度の対象製品に含まれています。
ここでも注意したいのが、10年=故障する日でも、大家の交換義務が発生する日でもないことです。
使用時間、設置環境、室外機周辺の温度、手入れ状況などによって状態は変わります。10年以上正常に動くこともあれば、それより前に故障することもあります。
10年前後を超えているエアコンなら、「年数だけで交換」ではなく、次のような症状と合わせて管理会社へ伝えるほうが話が進みやすいです。
- 冷房・暖房を設定しても室温が変わりにくい
- 運転途中で頻繁に停止する
- エラー表示が繰り返される
- 異音や強い振動が出る
- 室内機から水漏れする
- 焦げ臭さや異常な発熱がある
焦げ臭い、煙が出る、電源コードやコンセントが異常に熱いなど安全に関わる症状がある場合は、何度も再起動せず運転を止め、管理会社やメーカーへ相談してください。
部品の10年は製造終了後から数える
もうひとつ間違えやすいのが、メーカーの「補修用性能部品の保有期間」です。
ルームエアコンでは、メーカーによって製造打ち切り後10年程度を補修用性能部品の保有期間としている例があります。
ただし、これは購入・設置してから10年ではなく、その機種の製造を打ち切ってから数えるのがポイントです。
2018年に設置したエアコンだから2028年に必ず部品がなくなる、と単純には判断できません。型番を確認し、メーカーの修理サポート状況を見る必要があります。
逆に古いモデルでは、故障箇所によって必要な部品がすでに供給終了となり、修理できないことがあります。その場合は年数にかかわらず交換を検討することになります。

故障したら誰が費用を負担する?
賃貸エアコンが故障したときは、「何年使ったか」だけでなく、契約上の扱いと故障原因を確認します。
判断の基本は次の3パターンです。
| エアコンの状態 | 基本的な考え方 |
|---|---|
| 物件設備+経年故障 | 貸主側が修繕するのが基本 |
| 借主の故意・過失による破損 | 借主負担が生じる可能性あり |
| 残置物 | 契約・特約によって対応が変わる |
設備なら貸主の修繕が基本
賃貸借では、貸主は借主が物件を使用するために必要な修繕を行う義務を負うのが基本です。
そのため、契約上の設備として設置されているエアコンが通常使用で故障した場合は、貸主側で点検・修理・必要に応じた交換を行う流れになります。
ここで大切なのは、借主が「新品へ交換してください」と機種まで指定する権利があるわけではないことです。
必要なのは、冷暖房設備として使用できる状態へ戻してもらうことです。修理で復旧させるか、交換するかは、故障内容や修理可能性などを踏まえて貸主側が判断することになります。
残置物なら契約書を確認する

ややこしいのが残置物です。
前の入居者が取り付けたエアコンを、そのまま使える状態で残している物件があります。この場合、契約上「残置物」「設備外」「性能保証なし」などとされ、貸主が修理義務を負わない条件になっていることがあります。
確認する場所は主に次の3つです。
- 賃貸借契約書
- 重要事項説明書や設備表
- 設備・残置物に関する特約
「残置物だった記憶はない」「設備表が見つからない」という場合は、自己判断せず管理会社へ「このエアコンは契約上の設備ですか、それとも残置物ですか」と確認してください。
できれば電話だけで終わらせず、メールや管理会社のアプリなど回答が残る方法で確認しておくと後から整理しやすくなります。
借主が壊した場合は別
契約上の設備であっても、借主の故意や過失によって故障・破損させた場合は、借主負担が問題になることがあります。
たとえば、室内機へ強い衝撃を与えて破損した、禁止されている改造をした、水漏れに気づきながら長期間放置して壁や床まで傷めた、といったケースです。
ただし、借主に原因があったからといって、古いエアコンを新品に交換する費用がそのまま全額請求されるとは限りません。
国土交通省の原状回復ガイドラインでは、設備について経過年数を考慮して借主の負担割合を決める考え方が示されています。
請求を受けた場合は、すぐ支払う・拒否するのではなく、次を確認しましょう。
- 故障・破損した原因
- エアコンの設置時期や製造年
- 修理または交換費用の内訳
- 借主負担割合の計算根拠
- 本体以外に壁や床の修繕費が含まれていないか
特に水漏れを放置すると、エアコン本体より壁紙や床への二次被害が大きくなることがあります。水漏れに気づいたら早めに管理会社へ連絡してください。
ドレン周りの音や水漏れが気になる場合は、賃貸でエアコンのポコポコ音がする原因と対策も参考になります。
家賃減額は自分で決めない
設備として付いているエアコンが故障し、借主の責任ではない理由で部屋の一部を使用・収益できなくなった場合、民法611条では、その割合に応じて賃料が減額される考え方が定められています。
ただし、ここで「エアコンが壊れたら家賃を○円引いていい」と自分で金額を決めるのは避けたほうがいいです。
減額割合には、故障した設備、季節、地域、部屋の間取り、エアコンの設置台数、使用できなかった期間などが関係します。
公益財団法人日本賃貸住宅管理協会が2024年に改定したガイドラインでは、「エアコンが作動しない」場合の賃料減額割合として10%が目安として示されています。ただし同ガイドライン自体が、法的拘束力のある基準ではなく、状況に応じて調整する目安としています。
そのため実際には、まず故障を通知し、修理予定を確認したうえで、長期間使用できない場合に管理会社へ賃料の扱いを相談する流れが現実的です。
「今月分を勝手に10%差し引いて振り込む」といった行動は、家賃滞納として扱われる可能性もあるため避けてください。
故障から交換までの進め方
実際にエアコンの調子が悪い場合は、年数だけで交換を求めるより、原因を簡単に切り分けてから管理会社へ連絡したほうが進みやすくなります。
まず自分で確認する範囲

冷えない・暖まらない場合は、まず次を確認します。
- 冷房・暖房など運転モードが合っているか
- 設定温度が極端な状態になっていないか
- フィルターが目詰まりしていないか
- 室内機の吸込口・吹出口を物でふさいでいないか
- 室外機の吸込口・吹出口を荷物などでふさいでいないか
- リモコンにエラーや警告が表示されていないか
これで改善しなければ、利用者が分解して内部を触る範囲ではありません。冷媒回路や電装部分を自分で修理しようとせず、管理会社へ連絡しましょう。
また、市販のエアコン洗浄スプレーを内部へ大量に吹き付けるのもおすすめしません。電装部分へ洗浄液が付着すると故障や事故につながる可能性があります。
臭いや内部清掃については、エアコンが酸っぱい匂いがするときの原因と掃除方法で、自分で触ってよい範囲を詳しく整理しています。
製造年と症状を記録する
管理会社へ連絡する前に、エアコンの型番と製造年を確認しておくと話が早くなります。
室内機の底面や側面などに銘板があり、メーカー名・型番・製造年が表示されている機種が一般的です。見つけたらスマホで写真を撮っておきましょう。
冷えない場合は、室温も記録しておくと状況を伝えやすくなります。
ただし、「設定温度26℃なのに室温30℃だから故障確定」という判断はできません。外気温、部屋の広さ、断熱性、直射日光、エアコンの能力などでも室温は変わるからです。
記録するなら、次の情報をセットにすると伝わりやすくなります。
- 運転モードと設定温度
- 運転を開始した時刻
- 一定時間後の室温
- 異音・水漏れ・エラー表示の有無
- フィルター清掃など確認済みの内容
温湿度計があれば記録には使えますが、温度計だけでエアコン故障を証明できるわけではありません。吹出口の直下や直射日光が当たる場所を避け、普段生活している位置の温度を記録する程度に考えてください。
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修理依頼前の室温記録や、修理後に室温が変化しているか確認する用途ならシンプルな温湿度計が使いやすいです。
管理会社へ先に連絡する
賃貸設備のエアコンが故障したら、基本的には管理会社や大家さんへ先に連絡します。
メーカーへ直接修理を依頼したり、家電量販店へ新品交換を依頼したりする前に、貸主側へ状況を共有してください。

連絡するときに伝えたいのは次の内容です。
- 部屋番号と氏名
- エアコンのメーカー・型番・製造年
- いつから症状が出ているか
- 冷えない・動かない・水漏れなど具体的な症状
- フィルターや設定を確認済みか
- エラーコードが出ているか
- いつ頃点検できるか確認したいこと
「15年経っているので交換してください」と年数だけを根拠にするより、「冷房運転しても冷えず、フィルター清掃と設定確認でも改善しないので点検してほしい」と伝えるほうが、管理会社も業者手配へ進みやすくなります。
そのまま使える連絡例
管理会社へ送るなら、長文にしすぎなくても大丈夫です。
「○○号室の○○です。備え付けのエアコンについて、冷房運転をしても室温が下がらない状態が続いています。フィルター清掃と運転設定は確認しましたが改善しません。型番は○○、製造年は○年です。点検・修理をご手配いただけますでしょうか。修理が難しい場合は交換についてもご相談したいです。あわせて対応予定日の目安を教えてください。」
水漏れや異音があるなら、その内容も追加します。
電話で伝えた場合も、あとから「本日○時ごろお電話したエアコンの件です」とメールなどを送っておくと、連絡日が記録に残ります。
勝手に交換しないほうがいい
管理会社の対応が遅いと、「もう自分で量販店に頼んで交換しよう」と思うかもしれません。
ただ、賃貸では自己判断での交換はおすすめしません。
民法では、借主が貸主へ修繕の必要性を通知したのに相当期間内に修繕されない場合や、急迫の事情がある場合に、借主が修繕できる規定があります。
とはいえ、エアコンの交換となると次の問題が出ます。
- どの価格帯の機種まで認められるのか
- 工事費を誰が負担するのか
- 既存エアコンを誰が処分するのか
- 取り外したエアコンの所有者は誰か
- 退去時に新しいエアコンを残すのか
- 立替費用を本当に回収できるのか
そのため緊急性が高い場合でも、可能な限り「どの業者へ、どの範囲の修繕を依頼してよいか」「費用は誰が負担するか」を書面やメールで確認してから進めるほうが安全です。
真夏・真冬など生活や安全への影響が大きく、連絡しても対応されない場合は、消費生活センターや法律の専門家へ相談する選択肢もあります。
交換交渉は年数+症状で伝える
エアコンの製造年が古いことは、交換を検討してもらう材料にはなります。
ただし「10年経ったから交換義務があります」ではなく、次のように話すほうが正確です。
- 製造から長期間経過している
- 現在具体的な不具合が発生している
- 利用者ができる清掃や設定確認では改善しない
- メーカー修理が可能か確認してほしい
- 修理不能・高額なら交換も検討してほしい
この形なら、「古いから新しいモデルが欲しい」という要望ではなく、設備を正常な状態に戻すための相談になります。
なお、「古いエアコンだから必ず電気代が高い」とも断定できません。現行機種との省エネ性能差はありますが、家庭の電気代は設定温度、外気温、断熱性能、使用時間などにも左右されます。
以前より明らかに冷暖房に時間がかかる場合は、「電気代が高いから交換して」ではなく「以前より設定温度へ到達しにくくなったため、性能低下や故障がないか点検してほしい」と伝えるほうが適切です。
よくある質問
賃貸エアコンの耐用年数まとめ
賃貸エアコンの耐用年数で最も大切なのは、6年と10年を「交換期限」と考えないことです。
- 6年は主に減価償却や原状回復で使われる数字
- 10年前後の標準使用期間も強制的な交換期限ではない
- 設備の通常故障なら貸主側の修繕が基本
- 残置物なら契約書・設備表・特約を確認する
- 故障したら製造年と症状を記録して管理会社へ連絡する
- 借主判断でエアコンを交換しない
古いエアコンだからといって交換を要求するのではなく、まず「設備か残置物か」「どんな症状が出ているか」「修理可能か」の順番で確認するのが現実的です。
特に真夏・真冬の故障は生活への影響が大きいため、異常を感じた時点で早めに管理会社へ連絡してください。連絡日時や回答を残しておけば、修理が長引いた場合の賃料相談にもつなげやすくなります。
なお、契約内容や故障原因によって費用負担は変わります。高額な請求や修繕・賃料をめぐるトラブルになった場合は、契約書と見積書をそろえたうえで消費生活センターや法律の専門家へ相談してください。

